PIECE COLLECTOR


【第二十六話】






ギシッ…



結局眠れずに夜が白んでいくのをずっと見ていた。
今まで静かな寝息ばかりで寝返りも打たなかった彼女が
窓から差し込むまだ淡い朝日に照らされ
不愉快そうに身を揺らしベッドが鳴った。

シーツから出ている彼女の肩をそっと撫ぜると
まだ肌寒い気温に冷やされたのかひやりと冷たく
俺の手を刺激した。

そっとシーツを掛け直すと気が付いたのか
少しばかりのうめき声を上げて伸びをして

「また眠れなかったの?」と俺に微笑みかけた。
「ゴメン…起してしまったね…君の肩が寒そうだったから…」
そう言ってもう一度シーツを掛けなおそうとした俺の腕を取り
自分の体の方に引っ張ると俺の胸に顔を埋め

「傍に…居てね?…ずっと…」そう小さな声で言った。

返す言葉が無かった…
思わず黙り込む俺の背をそっと撫ぜ…

「今は…嘘でいいから…不安なの…とても…」と
俺の体をグッと抱いた。

「苦しい思いをさせてごめ…」
謝ろうと彼女の顔を覗き込んだ瞬間ふさがれる唇…
その生暖かい感触に吸い込まれる様に…

俺は彼女の体に指を滑らせた。

髪を撫ぜ…首筋を味わい…指で愛で…
彼女のどんどん上昇する温度を味わった。

耳元で荒くなる吐息が彼女の生きている証で…
上昇する温度も…しっとり濡れていく肌も…
乱れながらも俺の存在を乞う彼女の孤独も

全て…全て…彼女の生きている証で…
愛しくて愛しくて堪らなかった。

ベッドのきしむ音…彼女の吐息…シーツの擦れる音…
その合間に聞える警察犬のものと思われる獣の気配…

いつ踏み込まれるのか解からない。
いつ引き離されるか解からない…
もう二度とこの目に映す事が出来なくなる…と思うと
彼女から目を離す事が出来なかった。

そっと乱れる彼女の両手を取りベッドの上にある手錠をかけた。
「何をするの?」そう首をかしげる彼女の頬に口付けながら
「初めにこの部屋に来た時を思い出したいんだ…」

そう彼女に告げ俺は遠くない過去に思いを馳せながら
彼女を愛した。

俺のモノクロームの世界の中で
君だけが‘特別’に見えた…

本当はあの時君を殺すべきだったのかも知れない…
そうすればこんな想いはしなかっただろう。

俺はずっと‘生きる’という事さえ知らずに…
それでも俺は思うんだ…

君に逢えたから俺は生きて来て良かった…とか
使い古された安っぽい言葉を心の底から言える。
何も無かった俺の世界がこんなにも沢山の感情で
満たされる事ができた。

それがこんなにも嬉しく…悲しい。
その痛みさえもう愛おしい。

ねぇ?フィオナ…もう俺はこの気持ちを言葉で表すなんて
そんな事ボキャブラリーの少ない俺には出来そうも無いよ。
この身が千切れそうな程、君を想ってしまうんだ…

それを表すのは何て言う言葉なのかな…
解からないけど何かしたくて堪らないんだ。
君に…この非力な俺の出来る事が何か…




十分に火照った彼女の体に圧し掛かりながら
その一番熱い部分に指を入れしっとり絡む膣肉を解した。
そっと突起の皮を捲り充血した芽を撫ぜると
ピクリと背を仰け反らせる彼女に

「何かして欲しい事あるか?」と問う俺に
当然ながら訳の分からない彼女は
「酷い!解かってるくせに!」と息を荒げながら俺を睨んだ。

「そうじゃないよ…」と思わず苦笑しながら入れる指の本数を増やし
かき混ぜながら彼女の足の間に頭を突っ込むと敏感になっている芽を
そっと甘噛みすると仰け反った後

「お願い…んぁ!欲しい…の…っぁあ!っやん!もう…お願…い」
そう強請る彼女を無視して彼女の内股を広げて強く噛んだ。

何度も何度も…血が出る程噛んだ。
彼女の内股は赤く変色し…熱を持っていたが
性器からの快感が余りにも強いのかソレさえも喘ぎ…仰け反っていた。

乱暴に…大げさに傷が残る様に体中を噛んだりして傷をつけた。
今までに無い激しい行為が彼女の心の琴線に触れたのか
彼女はいつもより激しく身もだえし…俺を誘った。

あちこちが傷だらけだ…彼女以外は‘愛された’とは思うまい、この姿。
首も…手も…足も…至る所に血がうっすら滲んでいた。

これで良いんだ…これで…彼女は俺に‘飼われていた’憐れな被害者だ。
二人の愛など二人だけが分かっていれば良い…
例え俺が去った後何も残らなくても…良いんだ…。

そう自嘲しながら痺れを切らした彼女にそっと自分のモノを挿入すると
彼女は俺の腰に手を回し、
「欲しいの…!レオンとの赤ちゃん!欲しいの!」と泣いた。

快感で感際まってそう言ってるだけで…
きっと彼女は後悔する…でも俺だって…俺だって…
残して行きたいさ…何より望んだ幸せだ。

俺とフィオナの子供…そんな幸せな事…
与えられる筈が無い…彼女が望むならなんだってしてやりたい。
でも…でもきっと後悔する。彼女は不幸せになる。
だから俺は…そっと首を振り彼女の唇をふさいだ。

それでも何度も嫌々して俺の口を振り払い言った彼女の言葉が
俺の心を折ってしまった。きっとそう思ってる事など前々から
お互い解かってた筈なのに…実際言葉にされてしまうと
破壊力は素晴らしい程増してしまった。

「っん!いつか!いつか私を一人にしてしまう癖に!
愛を!私の中に愛を残してよ!全て奪ってしまわないでよ!
私を本当の一人に…しないでよ!怖い……」

まるで寒さに震える小動物の様に小刻みに震え
涙を流す彼女に俺は抗う程…強くも無くて…
罪な事ぐらい解かってるのに…彼女が辛い思いをするのに!

思い切りピストンして彼女の奥深くまで到達すると
中で全てを吐き出しながら俺は願っていた。
受精などしません様に…!育ちません様に…
いや…無事に育ってくれます様に…!

いや!無い!きっとそんな事許されない!子供など…






もし…




…もし出来て産まれてしまったら…



育ってしまったら…




育ってくれたら……



どうか自分の世界の様な殺伐とした所ではない…
彼女の傍の…愛に溢れた世界に包まれて…

【続く】
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